「身長2mの練習生がいる」
デビュー前から話題になったこのフレーズは、綾部蓮選手の大きな武器だ。
学生時代からその恵まれた体格を活かしバスケットボールや柔道に汗を流す、あまりしゃべりが得意ではないが、言葉よりも気持ちが前に出て行動するタイプだった。
そんな時に目にしたプロレス中継でオカダ・カズチカ選手(新日本プロレス)がその大きな身体を存分に活かした試合で観客を魅了する姿を目にしてプロレスに興味を持つようになる。
「自分もこの身体を活かせばプロレスラーになれるのだろうか?」
周囲よりひと回りもふた回りも大きな身体を持った寡黙な少年はそんな事をぼんやりと考えていた。
社会に出たあともプロレスファンとして過ごしていたそんなある日、知人の紹介でTAKAみちのく代表に出会うチャンスを得る。
「ウチの練習生にならないか?」
TAKAみちのく代表の言葉に導かれるようにJUST TAP OUT入団。
練習生として雑用とトレーニングに明け暮れる日々
そんな練習生Aに最初のチャンスが訪れる。
コロナ禍で延期になっていた第1回JTOトーナメント決勝戦が8月14日新木場1stRINGで開催された。
決勝戦後リング上、優勝を決めたTAKAみちのく代表が叫ぶ
「これでランキング1位はこのオレだ!オレが1位に居るっていうのが気に入らないやつ!ぶっ潰したいって思ってるヤツがいるなら誰でもいい、かかってこいよ。」
マイクの直後、会場がどよめきに包まれた。
代表の目の前に立っていたのは、まだデビューすらしていない練習生Aだったからだ!
気がつくと誰よりも先にリングに上がっていた。
言葉じゃない感情で身体が先に動く、寡黙だがその大きな身体にはうちに秘めた情熱が燃え盛っていた。
そこへ先輩レスラーのKANON選手が「デビューもしてないヤツがふざけるな!」とばかりに突っかかる。
この瞬間、次回後楽園ホール大会「夢」でのデビュー戦が決まった!
この瞬間から「身長2mの練習生A」は「身長2mの大型新人、綾部蓮」へと生まれ変わり、
憧れだった「身長191cmのレインメーカー」オカダ・カズチカ選手は憧れの存在から「目指す目標」になった。